何かを買う、どこかへ行く、何をするにしてもスマートフォンで検索するのが当たり前になっている昨今、全ての業種においてWeb集客の重要性は高まってきています。
数多ある業種の中でも、飲食店におけるWeb集客は非常に重要かつ簡単。それも即効性が高いのです。
今はまだそこまで普及していないWeb集客方法。おそらく、あと3、4年も経てば当たり前の常識になっているかも知れません。
インターネットの世界は先行者優位です。今から始めてライバル店に差をつけましょう。
正しい売上の計算式
飲食店の売上を求める計算式としてよく使われるのが、来店客数×客単価といった式です。
しかしマーケティング視点で売上を考える際、正しい計算式は以下のようになります。
新規客数×リピート率×客単価
Web集客は「新規客数」にのみ影響を与えると考えられがちですが、実は「リピート率」を底上げすることも可能です。
そしてこの計算式のポイントは掛け算であることです。
新規客数とリピート率のどちらかが高くとも、もう片方の数値が悪いのでは大きな売り上げアップは望めません。
集客アップを図ろうとお考えの方は、まず自社に足りないのは新規客数なのか、リピート率なのか、もしくは両方なのかといった自己診断を正確に行うことが大切です。
そしてその原因解消に向けた適切なWeb集客を行いましょう。
もちろん、大前提として一番重要であるのはお客様に提供するサービス・商品の質です。
しかし上手なWeb集客方法を行うことで、この成果を2倍3倍にも倍増させることが可能となってくるのです。
Web集客の種類
Web集客とは、インターネット上の様々なツールを利用して集客を行うことです。
Web集客を行うツールは、トリプルメディアと呼ばれる3種類のどれかに分類することができます。
オウンドメディア
Web集客におけるオウンドメディアとは、自社で所有するブログやホームページといったメディアのことです。また、自社のソーシャルメディアアカウントもオウンドメディアに分類されます。
アーンドメディア
アーンドメディアとは、評判・口コミで獲得したメディア露出のことです。
Twitter・FacebookなどのSNSによる拡散、レビューや評価を書かれることで結果的に得るメディア上での認知がアーンドメディアに該当します。
ペイドメディア
ペイドメディアとは、有料広告全般を指します。
例えば、Google検索上での露出を増やしたい場合はリスティング広告を、食べログやぐるなび等で露出を増やしたい場合は広告オプションを利用することで露出促進が可能となります。
ここまでトリプルメディアについて説明しましたが、富山工房では運用コンサルティングにおいて基本的にオウンドメディア(自社メディアの構築)以外の施策は行いません。
良質なオウンドメディアを作り続ければ、ユーザーは自発的にそれをSNS等で拡散してくれ、必然的にアーンドメディアの獲得にも繋がります。
そうなればペイドメディア(有料広告)に頼る必要もないのです。
ここからは、このオウンドメディアをどのように使い分け、新規客数とリピート率の改善を行うのかを別々に解説していきたいと思います。
新規客数を増やす方法
2013年5月号の「日経レストラン」に掲載されていたアンケートによると、初めて利用する飲食店を選んだ理由は以下の通りです。
友人・知人・家族などに薦められた、または連れていってもらった | 63.0% |
偶然、通りかかり気になった | 40.0% |
インターネットの飲食店検索サイト | 36.7% |
食べログなどのインターネットのクチコミ情報 | 36.3% |
クーポン誌 | 17.7% |
チラシ | 14.3% |
テレビのグルメ情報 | 13.7% |
雑誌のグルメ情報 | 11.1% |
友人や知人のブログ、ソーシャルメディアを見て | 7.3% |
新聞のグルメ情報 | 3.0% |
その他 | 0.7% |
インターネットの飲食店検索サイト、食べログなどのインターネットのクチコミ情報が非常に大きな割合を占めていることが判ると思います。
しかしこの調査結果が発表された2013年以降、大きな変化がありました。
それはスマートフォンの急速な普及とローカル検索の登場です。
それを踏まえた上で、来店客数の改善を行う場合はオウンドメディアを軸に以下の3つの施策を行います。
- Googleマイビジネスの登録
- ホームページの作成
- グルメサイトへの店舗登録
この3つについて順に解説していきます。
Googleマイビジネスの登録
Googleマイビジネスとは、Google検索やGoogleマップ上で自信のビジネスをアピールすることができる無料ツールです。
Googleマイビジネスの登録内容はローカル検索結果にも反映されるため、非常に重要な役割を持ちます。
例えば、「業種 都市名」などで検索した際に、検索結果の一番上に表示されるのがローカル検索結果です。
このローカル検索の登場により、グルメサイトの利用者は年々減り続けています。
また、searchenginewatchの調査結果によると、店舗に訪れるモバイルユーザーの50%がローカル検索を利用しています。
Googleは今後もローカル検索機能を改善し続け、利用者を増やし続けるでしょう。
ローカル検索上で表示されている多くのビジネス情報は、Google側で自動登録されたものです。
しかしGoogleマイビジネスにオーナー自身が登録し、営業時間等の詳細情報を入力することで情報の信頼性が増し、ローカル検索上の掲載順位の上昇に繋がります。
Googleマイビジネスの登録方法は以下の記事を参考に進めてください。
今後はグルメサイトでどのように掲載されるかよりも、ローカル検索上での掲載順位がWeb集客において最も重要な要素になるでしょう。
ローカル検索という言葉が普及していない今のうちに対策を始め、ライバル店と差をつけましょう。
ホームページ制作
Web集客を行う場合、Googleマイビジネスの登録と同様に重要なのがホームページの有無です。
先ほど説明をしたローカル検索上でもマイビジネス情報に店舗のホームページを登録することができます。
弊社の統計によると、マイビジネス情報にホームページを登録した場合、しなかった場合に比べて来店率が11%アップしています。
また、自然検索欄においてもホームページは表示されるので、自然検索とローカル検索の両方において有効な集客手段です。
ホームページの代わりとして無料ブログなどを運営されている方も多く見られますが、それとは別にホームページを作りましょう。無料ブログとホームページではコンバージョン率が全く違ってきます。
また、最近ではWixやjimdoといった無料でホームページを作成できるツールも増えてきました。Wixなどではテンプレートを利用することで簡単に綺麗なデザインのホームページを作ることができます。
しかし、ホームページにおいて大切なことはデザインではなく、集客力と収益力です。
集客力と収益力の兼ね備えたホームページを作るにはやはり制作会社のノウハウが必要です。
また、ホームページといっても50万円や100万円といった高額なものを用意する必要はありません。
WordPressと呼ばれるCMSで構築された低価格かつ高品質なホームページがお勧めします。
グルメサイトへの店舗登録
現代社会において飲食店を経営する以上、食べログ・ぐるなびといったグルメサイトとの関係は切っても切れません。
しかし、その需要はローカル検索機能の普及と共に減少傾向にあります。この傾向は今後益々顕著になるでしょう。
そんな中、グルメサイトへの登録を推奨する理由は、グルメサイト経由での集客を目的としてではなく、Web上の知名度を高めるためです。
様々なグルメサイトで掲載されるほど知名度の高い店舗だとGoogleのアルゴリズムは判断します。そしてその知名度はローカル検索での掲載順位に影響してくるのです。
グルメサイトの多くは無料で登録することができるため、これを利用しない手はありません。
また、食べログでは店舗登録をして詳細な情報を入力するだけでも、食べログサイト内での掲載順位が上昇します。
2019年現在、有名なものだけでも30以上のグルメサイトが存在します。
その全てに登録する必要はないので、特に利用者の多いサイトを選択して登録をしましょう。現在、特に利用者の多いサイトをいくつかピックアップしてみました。
食べログ
食べログは、全国88万件以上の飲食店が掲載されている日本最大級のグルメサイトです。
店舗準会員申し込みから登録を進めていきましょう。
ぐるなび
ぐるなびも掲載店舗数50万件を超える有名グルメサイトです。
ぐるなびも、無料のエントリー会員登録を済ませることで簡易ページを掲載することができます。
Yelp
Yelpは日本ではまだ知らない片も多いですが、世界最大級のローカルビジネスレビューサイトです。
ビジネスオーナー専用ページから無料登録を行うことができます。
Retty
RettyはSNSのようなサイト構造をしたグルメサイトです。
店舗情報の新規掲載フォームより申し込みすることができます。
リピート率の改善方法
続いてリピート来店を増やす施策ですが、ここまで説明してきた来店客数を増やす施策とは全く別にして考えていきましょう。
一般的に、頻繁に外食をする方で「決まった一店舗にしか行かない」といった行動を取るお客様は稀です。
ほとんどの方は行きつけのお店を複数店舗持っており、その中からその日行くお店を選んでいます。
飲食店.COMに登録している飲食店経営者を対象としたアンケートでは次のような結果が出ています。
新規顧客の再訪問率を調査した結果、最も多かったのは20%という回答。(5人に1人の割合でリピート来店してくれる)
次いで40%、30%・50%(同率)と続く。
ちなみにすべての回答の平均をとると38.0%という結果に。一般的とされる「再訪問率=40%」という数値に近い結果が得られた。
また、業態別の再訪問率も確認したが、さほど大きな差は生まれなかった。居酒屋・ダイニングバー36店舗の平均は41%、カフェ13店舗の平均は36%という結果に。この「再訪問率=40%」という数値は、多くの飲食店にとって目指すべき、あるいは超えるべき目標だといえる。
飲食店.COM
また、株式会社リクルートライフスタイルの調査では以下のような結果が出ています。
・1週間の外食回数は、1人あたり平均2.97回
・そのうち、過去に訪れた店舗のリピート利用は77.5%
・そのうち、選んだ理由が「なんとなく」の割合は55.8%
このように、外食する人の80%近くが過去に訪れたことのある店舗をリピート利用しているのです。
そして一番注目するべきなのは、お店を選ぶ理由の55%が「なんとなく」であることです。
この「なんとなく」のキッカケを作るために2つのオウンドメディアを利用していきます。
- LINE@の導入
- お役立ちブログの作成
LINE@の導入
メルマガという販売促進手法がありますが、それに取って代わって注目されているのがLINE@(ラインアット)と呼ばれるサービスです。
LINE@とは、スマートフォンアプリ「LINE」内で利用できる商用サービスであり、店舗や会社でのLINEアカウントを取得することができるといった機能です。
一般アカウントの違いは、店舗アカウントを友達登録しているユーザーに対してメッセージ一斉送信・タイムライン投稿・クーポン配布することが可能となることです。
また、LINE@の特徴として極めて高い到達率が挙げられます。
メルマガの開封率が4~6%なのに対し、LINE@のメッセージ開封率は60%を超えます。これほど費用対効果の大きな販売促進ツールは他に存在しないでしょう。
LINE@の導入費用
これほど素晴らしい成果を期待できるLINE@ですが、なんと無料プランでも一月1,000通までは送信可能です。
100人のお客に10通でも、10人のお客に100通でも合計が1,000通以内ならば無料で使えます。
LINE@の登録方法
LINE@アカウント作成から作成します。
既に個人でLINEアプリのアカウントをお持ちの方は「認証済みアカウントを申し込む」をクリックして所持アカウントのメールアドレスとパスワードを入力してログインしましょう。
その後、ガイダンスに従って店舗アカウントを作るだけで利用できます。
LINE@の活用ポイント
LINE@は店舗のアカウントを友達追加してくださったお客様にだけメッセージを送ることができます。QRコードを利用して、まずは登録してもらえるよう工夫をしましょう。
そしてメッセージ配信は多くとも月2回までに抑え、本当に良質でお得な情報のみをお届けするように心掛けましょう。
どうでもよい内容を頻繁に送信するアカウントはすぐにブロックや通知拒否をされてしまいます。
お役立ちブログの作成
ライブドアブログやamebaブログを利用して店舗ブログを運営していらっしゃる方が非常に多いですが、ブログを作成する際は必ずホームページ上に構築しましょう。
ホームページ上のブログから良質な記事を配信し続けることでドメイン全体のパワーが底上げされ、結果的にホームページ自体の検索順位上昇に繋がります。
ブログ記事の内容
店舗ブログでの記事内容はLINE@の配信内容と重複しないよう気をつけましょう。LINE@はクーポン配布や新商品のお知らせといった営業ツールとして使いますが、ブログでは一切営業を行いません。
記事の内容は、お客様の興味があるであろう情報です。
例えば、ラーメン店であれば「市販インスタントラーメンのアレンジ術」「自宅での美味しいチャーシューの作り方」などを記事にするのも良いでしょう。
他にも焼肉店であれば「各国産牛の評価」「自宅でできる肉料理のレシピ」などが良いでしょう。
ブログ配信の目的
こういったお役立ちブログ記事の配信は本来、見込み客育成のためのリードチャーリングと呼ばれるマーケティング手法です。
しかし飲食店においてその目的は「ファン育成」にあります。
良質な記事を配信し続ける限り、そのジャンルに興味のあるお客様は定期的にブログへアクセスしてくれます。
そして記事を購読するに従ってお店への信頼感と信用が増していきます。そして最終的にはお客様をブログ配信者(お店)のファンへと育てていきます。
Web集客のコツまとめ
以上5つの集客方法を解説してきましたが、大切なのは今店舗に必要なのは新規客数の増加なのか、リピート率の改善なのかを見極めてそれに応じた施策を行うことです。
また、顧客の年齢層や土地柄によって調整と改善を行い、自店に合った集客方法を見つけましょう。